自分の感性を信じられる未来へ
同志社中学校との授業から、宮崎市のプロジェクトへ
こんにちは。
合同会社amiami代表の高野杏実です。
私たちは、障害のあるアーティストの作品を企業や学校、ご家庭へ届けるアートレンタルを中心に、アートと一緒に目の前の人を幸せにする活動を続けています。
今回は、京都にある同志社中学校の先生と一緒につくってきた美術の授業と、その経験が、現在取り組んでいる『「宮崎市の子どもの未来」をアートでつくるプロジェクト』にどのようにつながっているのか、お話ししたいと思います。

(写真)中学生みんなで描いた作品とともに
「上手に描く」だけではない、美術の時間を
同志社中学校との取り組みが始まったのは、2024年のことでした。
中学校の美術科の先生とお話しする中で、これからの美術教育について、一つの問いが生まれました。
絵を写実的に描くことや、技法を身につけることは、もちろん大切です。
一方で、上手に描くことや技巧だけが評価の中心になると、思うように描けない生徒は、「自分は絵が苦手だ」「美術は好きではない」と感じてしまうことがあります。
本来、美術には、自分の中にある感覚や思いに気づき、それを自分なりの方法で表現する面白さがあります。そして、そこにはとても大きな意味があるはずです。
けれども、「上手に描かなければ」という気持ちが強くなることで、その人にしかない感性が置き去りになってしまう。
それは、とてももったいないことだと感じました。
特に、感性の中にある豊かなものを、身につけた技法だけでは十分に表しきれないことがある。多くのアーティストの作品を前にして、私はそう感じています。
障害のあるアーティストの作品を「入り口」にする
amiamiには、障害のあるアーティストが生み出した、さまざまな作品があります。
自由な色づかいや大胆な構図、繰り返される線や形、記憶の中にある風景。
表現の方法も、作品が生まれる背景も、一人ひとり異なります。
その感性の豊かさは、「上手かどうか」という一つの基準だけで測れるものではありません。
大切なのは、作品を上手かどうかだけで見るのではなく、その人が何を感じ、どのように世界を見つめ、それをどう表現したのかに触れることです。
アーティストの作品を目にすれば、生徒の皆さんも「上手に描く」だけの執着からちょっと離れ、
自分の感性に戻って創作できるのではないか。
そんな思いから、先生と一緒に授業をつくり始めました。

(写真)同志社中で行われた美術科の授業内容発表の様子。(生徒さんの感想も共有しました!)
自分に合う作品とテーマを、自分で選ぶ
授業では、まず複数のアーティストの作品と、それぞれの作品が生まれた背景を紹介します。
その中から、生徒の皆さんが、自分の心に残った作品やテーマを選びます。
ある作品から自分の大切な思い出を振り返る人もいれば、色や形から、まだ見たことのない世界を想像する人もいます。
大切にしたのは、先生や私たちが全員に同じテーマを与えるのではなく、生徒自身が、
「私は、この作品が気になる」
「このテーマなら表現してみたい」
と、自分の感性をもとに選べることでした。
同じ作品を見ても、感じることは一人ひとり違います。
その違いに正解や不正解をつけるのではなく、自分が感じたことを大切にしながら、それぞれの創作へつなげていきます。
この授業は現在まで継続しており、少しずつ改善を重ねながら、2026年度で3年目を迎えます。
こんな感想ももらっています。

自分で選ぶことは、自分を信じること
私たちは、この授業を通して、生徒の皆さんに、ただ「アートを好きになってほしい」と考えているわけではありません。
自分が心を動かされた作品を選ぶこと。
なぜ気になったのか、自分なりに考えてみること。
感じたものを、自分の方法で表現してみること。
それらはすべて、自分の感性を信じる小さな練習だと思っています。
世の中には、すぐに答えが見つからないことがたくさんあります。
そんなときに、誰かが決めた正解だけではなく、
「私は、こう感じる」
「私は、これを大切にしたい」
と、自分の内側にある感覚を確かめながら、選ぶことができる。
アートに触れる時間は、その力を育ててくれるのではないでしょうか。

同志社中学校で生まれたものを、宮崎の未来へ
現在、私たちは宮崎市・東京海上日動とともに、『「宮崎市の子どもの未来」をアートでつくるプロジェクト』を進めています。
このプロジェクトが目指しているのは、単にアートを展示することではありません。
障害のあるアーティストの作品をきっかけに、子どもたちや地域の皆さん、そして宮崎を訪れた皆さんが、
「私は、この作品が好き」
「あなたは、そんなふうに感じたんだね」
と、それぞれの感性を持ち寄り、話せる機会を宮崎の中に増やしていくことです。
正解のないアートの前では、大人も子どもも、一人の人として同じ場所に立つことができます。
違う感じ方に出会い、自分の感覚にも気づく。
その小さな積み重ねが、自分のことも、誰かのことも大切にできる社会につながっていくと、私たちは信じています。

(写真)昨年プロジェクトお披露目会でファシリテータを務めたプロジェクトメンバー
(素敵な笑顔が大好きな写真です♡)
これから宮崎に生まれてほしい景色
学校や企業、地域のさまざまな場所に、アートがある。
そこに集まる人たちが、作品を見ながら、感じたことを自由に話している。
子どもたちが、大人の顔色や決められた正解ではなく、「私はこれが好き」と笑っている。
そして大人たちも、子どもの言葉に耳を傾けながら、自分自身の感性を少しずつ取り戻していく。
私たちが宮崎市のプロジェクトを通してつくりたいのは、そんな景色です。
さらに、このプロジェクトでは、参画企業からいただくレンタル料の一部を、宮崎市の文化芸術基金へ寄付しています。
この基金は、小中学校へ演劇団を招くなど、子どもたちが文化芸術に触れる機会を支えています。
一方で、今のままでは、あと10年ほどで枯渇する可能性があるとも伺いました。
でも、私たちプロジェクトメンバーは、「ピンチはチャンス!」だと思っています。
基金を持続可能なものにしながら、amiamiのアートはもちろん、演劇をはじめとするさまざまな芸術に、宮崎の子どもたちが出会える仕組みをつくっていきたい。
アートを飾ることが、目の前にいる人の心を豊かにし、同時に、未来の子どもたちが芸術に触れる機会にもつながっていく。
そんなやさしい循環を、宮崎の皆さんと一緒に育てていきたいと思っています。

(写真)宮崎の未来について、本気で話しているところ
同志社中学校の授業から始まった、自分の感性を大切にする時間。
その経験を生かしながら、宮崎の皆さんと一緒に、宮崎だからこそ生まれる新しい形を考えていきたいと思っています。
アートを通して、自分の感性を信じられる人が増えていくこと。
そして、一人ひとりの違いが、宮崎の未来をつくる力になっていくこと。
そんな未来を楽しみに、これからもアートとともに歩んでいきます。
応援したい!力になりたい!方、ぜひお声がけください。

(写真)プロジェクトでの第一号賛同企業「アクティヴ情報システム株式会社」様
合同会社amiami
代表社員 高野杏実
